キャンペーン概要
「イランカラプテ」キャンペーンについて
アイヌの人々は、独自の言語、信仰や文化の独自性を持つ先住民族です。北海道にある市町村の名前は約8割がアイヌ語に由来しているといわれ、さらに、東北地方の北部にもアイヌ語に由来した名前の市町村があると言われています。
近年では、我が国が持つ文化の多様性の一面としてアイヌ文化が注目されており、とりわけ、北海道の特に観光分野において、「雄大な大自然」「豊 かな食」といった従来の魅力に加わる新たな要素として脚光を浴びてきており、また、北海道内の民間企業等においても、アイヌ文化に対する関心が高まりつつ あります。
そのような中、アイヌ文化等の普及啓発をより一層推進するため、平成25年度から平成27年度の3年間を重点期間とし、民間企業や行政機関、学術機関等の連携により、アイヌ語のあいさつ「イランカラプテ」(「こんにちは」の意)を、「北海道のおもてなし」のキーワードとして普及させるキャンペーンを展開することとしました。
キャンペーンの推進は、国、自治体等、学術機関、アイヌ関係団体により構成する「イランカラプテ」キャンペーン推進協議会が担います。また、このキャンペーンに賛同いただく民間企業や一般の方々にサポーターとしてのご参画をお待ちしています。
「イランカラプテ」キャンペーン推進協議会 構成機関
- 内閣官房アイヌ総合政策室
- 経済産業省北海道経済産業局
- 国土交通省北海道運輸局
- 国土交通省北海道開発局
- 北海道
- 札幌市
- 白老町
- 平取町
- 国立大学法人北海道大学アイヌ・先住民研究センター
- 札幌大学
- NPO法人阿寒観光協会まちづくり推進機構
- 公益社団法人北海道アイヌ協会
- 公益社団法人北海道観光振興機構
- 公益財団法人アイヌ民族文化財団
- 北海道旅客鉄道株式会社
- 北海道空港株式会社
「イランカラプテ」という言葉について
「イランカラプテ」はアイヌの人々のあいさつで、「こんにちは」という意味です。 アイヌ語の教本などでは、やや丁寧なあいさつと紹介されています。
アイヌ語には、北海道内各地、樺太・千島によってそれぞれ方言が存在します。
「こんにちは」に相当するあいさつとしては、「イランカラプテ」のほか、地域によって、「イナンカラプテ」(帯広)、「イランカラフテ」(樺太)、「イソロレ」(道東)、「イカタイ」(日高)といった言葉が使われています。
イランカラプテの表記と発音について
アイヌ語は、カタカナやローマ字を基本としながら、独自のルールによって表記されるのが一般的です。カタカナを使う場合には、プやク、シ、ム、ラなどの字を少し小さく書く表記法がよく使われます。これは、アイヌ語の独特の発音を表すための工夫の一つです。
例えば、イランカラプテの小さな「プ」は、日本語で札幌(サッポロ)と言うときの「ッ」のように、くちびるを閉じた状態の音を表しています。
日本語にはない音ですので、最初からは正確な発音は少し難しいかもしれません。そんな時は文字のとおり小さく「プ」と発音してもよいでしょう。
まずは、みなさんも声に出して「イランカラプテ!」
「あなたの心にそっと触れさせていただきます」というメッセージについて
萱野茂氏(1926年- 2006年 元参議院議員)は、「イランカラプテ」という言葉の原義を「あなたの心にそっと触れさせていただきます」と解釈しています。この解釈が広く知られているところですが、学術的な語源解釈として、アイヌ語学者の間では一般的に共有されているものとはいえません。
推進協議会では、「あなたの心にそっと触れさせていただきます」という、温かく、ホスピタリィ溢れる解釈を、「イランカラプテ」という言葉の意味としてではなく、「イランカラプテ」キャンペーンのメッセージとしてみなさまにお伝えしていきたいと思っています。
「イランカラプテ」という、ひとつの言葉からでも、アイヌの人々の文化の一端を垣間見ることができます。この言葉をきっかけに、みなさまもアイヌの文化、歴史に触れてみてください。