アイヌ文化と歴史

言葉

 

アイヌ語はアイヌの人々の独自の言葉です。
このアイヌ語にふれる身近なものとして地名があります。
アイヌ語の地名は北海道をはじめ、サハリン(樺太)や千島列島、東北地方にも存在します。

<アイヌ語由来の地名>
札幌/さっぽろ~サッ(乾く)・ポロ(大きい)・ペッ(川)
知床/しれとこ~シ(地面の)・エト(出っ張った先端・岬)

衣服

 

衣服には、普段着と儀式用の晴れ着があります。
オヒョウニレなどの樹木の内皮やイラクサの植物繊維を織ったもの、動物や魚の皮を使ったもの、他民族との交流、交易で手に入れた木綿や絹の布で作られたものなど、さまざまな素材が使われていて、各地域の特徴をあらわす文様が施されたものが多く見られます。

信仰

 

アイヌの人々は、動物や植物、火や水などのほか、生活用具など、人間が生きていくために必要なものや、病気など人間の力ではどうすることもできないものを「カムイ」として敬いました。
そして、この世界は人間とカムイがお互いに関わりあい影響を及ぼしあって成り立っていると考えていました。

住まい

 

アイヌアイヌの人々は食べ物や飲み水が得やすく、災害にあわないような川や海沿いの場所を選んで
家を建てて村をつくりました。
コタンと呼ばれる村には数軒から十数軒の家が建ち並び、村おさを中心に、コタンのまわりの山や川や海で、狩りや漁、農耕、植物採集を行い、自然の恵みを生かし、自然と共生した暮らしを営んでいました。

食文化

 

自然の中に食糧を求めていたアイヌの人々は、多くの時間を食糧採集に費やしました。
それでも、一度で採り尽くすことはせず、例えば植物などは必ず「根」を残し、次の年も採集できるようにしました。
明治以降は、本州からの移住者が増加したことによる環境の変化から、調味料を使用するようになるなど食文化は大きく変化していきました。

アイヌ工芸

 

アイヌアイヌの人々は、日々の生活用具から儀礼用具に至るまで、独自の文様を刺繍や彫刻により施しました。
さまざまな道具に施された文様や造形の美は、伝統的な民具や新たな形(アート)に変化しながら現代に受け継がれています。

芸能

 

アイヌの人々は儀式のとき、親しい人があつまったときなどには必ずといっていいほど歌い、踊りました。
踊りは楽器を使わず、歌と手拍子で踊られます。
現在も北海道をはじめ全国各地で公演がおこなわれています。
「アイヌ古式舞踊」は1984年に国の重要無形民俗文化財の指定を受け、2009年にはユネスコ無形文化遺産に登録されています。